2019年、タイの伝統療法である「ヌアット・タイ(Nuad Thai)」は、ユネスコ無形文化遺産に登録され、その文化的・学術的価値が国際的に高く評価されました。この伝統医学の起源を辿ると、創始者とされるジヴァカ・クマール・バッチャ医師に行き着きます。彼は釈迦の主治医であったと伝えられており、現在でもタイではタイ伝統医学の重要な始祖として位置づけられ、医療従事者の間で深い敬意をもって語り継がれています。
タイ古式マッサージが「二人で行うヨガ」と称される理由は、施術者が受け手と呼吸のリズムを合わせ、瞑想に近い精神状態を保ちながら施術を行う点にあります。この過程において、施術者と受け手の双方が心身の調和を感じることができるという、独自の特徴を持っています。
さらに、研究により確認されているタイ古式マッサージの生理学的効果として、血液循環およびリンパ循環の促進、自律神経のバランス調整が挙げられます。特に、副交感神経を優位な状態へ導くことで、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌を抑制し、免疫機能の向上を促す可能性がある点が注目されています。
また、「セン」と呼ばれるエネルギーラインへの刺激は、筋膜の柔軟性を高め、関節の可動域を広げる効果が期待されます。これにより、慢性的な筋骨格系の不調の改善にも寄与すると考えられています。こうした生理学的変化を通じて、タイ古式マッサージは単なるリラクゼーションにとどまらず、身体機能全体の調和と最適化をもたらす伝統療法として評価されています。